若者の自殺が後を絶たない~
- 久喜 今井

- 2021年10月17日
- 読了時間: 2分
新型コロナウイルスの影響による、女性や若者の自殺が増えている。
2020年における総自殺者数は2万1,077人(暫定値)。男性は前年よりも26人減少した1万4,052人、逆に女性は2019年から934人増加し7,025人と2年ぶりに増加に転じた。若年層に至っては、小学生が15人、中学生が145人、高校生338人の合計498人に上り、1978年の統計開始以来最多だった1986年の401人を超えている。
もとより諸外国と比べて高い日本の自殺率。いま女性や若者たちに一体何が起こっているのだろうか。
なぜ人は自殺へと至るのか。
専門家によると、衝動的に自殺で亡くなるのではなく、多くは、複合的な悩みや課題が連鎖する中で、「もう生きられない」「死ぬしかない」と、追い込まれた末に亡くなっているのだという。
「私たちが行った自殺の実態調査(自殺で亡くなった523人に関する聞き取り調査)から、自殺で亡くなった人は平均すると4つの悩みや課題を抱えていたことが分かっています。『自殺の危機経路』と呼んでいますが、例えば景気が悪化して、仕事や生活の問題へと連鎖し、それらが深刻化する中で人間関係の問題となって、さらには心の健康の問題となった先に、自殺が起きるのです」
具体的には、失業者であれば、仕事を失い、生活のためにと借金を重ねるようになり、それが多重債務となる中で、家族の関係が悪化、精神的にも追い詰められてうつ状態になって自殺で亡くなるといった「自殺の危機経路」である。
生活保護や自己破産などの選択肢もあるが、心身共に追い詰められた状況では冷静な判断ができず、また「そんなことになるのは恥だ」といった先入観や、周囲に迷惑をかけたくないといった理由などで、自殺に至ってしまう人もいるという。
「『自殺』と言っても、自ら積極的に命を絶っているのではありません。自殺の背景に潜む経済的な要因や、自殺の危機経路からも分かるように、自殺は極めて社会的な問題です。もう生きていくことができないと、追い詰められた末に『自殺』で亡くなっているのです。自殺をタブー視するのではなく、もっと社会的な問題として、みんなで考えていく必要があると思います」




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